📌 この記事でわかること
  • 失業保険の受給条件と「もらえる人・もらえない人」の判定基準
  • 自己都合と会社都合で受給開始日・受給期間がどう変わるか
  • 失業保険の金額(基本手当日額)の計算方法と早見表
  • 申請から受給までの全手順とスケジュール
  • 受給中の禁止事項と注意点(不正受給リスク)
編集部の結論:失業保険は退職者の「最低生活を保障する制度」であり、適切に申請すれば3ヶ月〜1年分の生活費を国から受給できます。自己都合と会社都合で受給開始時期が大きく異なるため、退職時に「離職理由」がどう記載されるかを必ず確認してください。

最終更新日:2026年5月25日|厚生労働省・ハローワーク公式情報に基づく(2025年改正対応済)

失業保険(雇用保険の基本手当)とは

失業保険は、正式には「雇用保険の基本手当」といい、雇用保険に加入していた方が離職した際に、再就職までの間の生活を支える目的で支給される国の制度です。会社員として働いていた方の多くは雇用保険に加入しており、退職後の申請で受給できます。

2024年度の支給実績では、年間約250万人が受給しており、1人あたりの平均受給額は約80万円でした。退職後の生活設計を立てる上で、最も重要な制度の一つです。

失業保険の受給条件【2つの基本要件】

失業保険を受給するには、以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。

条件①:雇用保険の加入期間

離職理由必要加入期間
自己都合退職離職前2年間に通算12ヶ月以上
会社都合退職・特定理由離職離職前1年間に通算6ヶ月以上

条件②:就労意欲があり、いつでも働ける状態

「失業状態」とは、就職活動をしているが仕事が見つからない状態を指します。以下のケースは失業保険を受給できません。

  • 結婚・妊娠・出産・育児・介護などで当面働けない方
  • 病気・ケガで就労不可能な方
  • 学業に専念する方(学生)
  • 会社役員に就任した方
  • 自営業を開始した方
編集部コメント:「妊娠で当面働けない」場合は、失業保険の代わりに「受給期間の延長」申請が可能です。最大4年間まで受給期間を延長できるため、出産後に再就職する際に受給できます。

自己都合 vs 会社都合:受給条件の決定的違い【2025年改正反映】

離職理由によって受給開始日・受給日数が大きく異なります。2025年4月の改正で自己都合退職の給付制限が2ヶ月から短縮されたため、最新情報を確認してください。

項目自己都合退職会社都合退職
給付制限期間7日 + 1ヶ月(2025年4月改正)7日のみ
受給開始時期申請から約1ヶ月7日後申請から7日後
受給日数90日〜150日90日〜330日
国民健康保険料減免原則なし軽減措置あり
注意:「離職票」に記載される離職理由は会社が判断します。実態が会社都合(解雇・希望退職)でも「自己都合」と記載されている場合は、ハローワークに「異議申立て」が可能です。

受給期間と受給金額【早見表】

受給日数(自己都合退職)

被保険者期間受給日数(全年齢共通)
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

受給日数(会社都合退職)

離職時年齢1年未満1〜5年5〜10年10〜20年20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30〜34歳90日120日180日210日240日
35〜44歳90日150日180日240日270日
45〜59歳90日180日240日270日330日
60〜64歳90日150日180日210日240日

基本手当日額の計算式

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45〜80%)

賃金日額は、退職前6ヶ月間の給与(賞与を除く)の合計を180で割った金額。年齢・賃金水準により給付率が変動します。

退職前の月収(額面)基本手当日額(30代の目安)1ヶ月の受給額(30日換算)
20万円約5,200円約15.6万円
30万円約6,800円約20.4万円
40万円約8,000円約24万円
50万円約8,300円(上限近い)約25万円

※ 2025年8月時点の基本手当日額の上限は8,490円(30〜44歳)。詳細は最新の厚生労働省告示を確認してください。

申請から受給までの全手順

STEP1:必要書類を揃える

  • 離職票1(被保険者離職票-1)
  • 離職票2(被保険者離職票-2)
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
  • 銀行通帳またはキャッシュカード
  • 印鑑

STEP2:ハローワークで求職申込み(離職票受取後)

住所地を管轄するハローワークに行き、求職申込書を記入。離職票を提出して受給資格の決定を受けます。受給資格決定日から7日間は「待期期間」です。

STEP3:雇用保険受給説明会に参加(必須)

受給資格決定後、約2〜3週間後に行われる説明会に必ず参加。「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取ります。

STEP4:失業認定日にハローワークに行く(4週間ごと)

失業認定日(4週間に1回)にハローワークに行き、求職活動の実績を報告。認定を受けると、約1週間後に基本手当が振り込まれます。

STEP5:受給期間中の活動

毎月最低2回以上の求職活動実績が必要(求人応募、ハローワークでの相談、セミナー受講等)。実績が足りないと認定されず、支給が止まります。

失業保険受給中の禁止事項【不正受給は3倍返し】

絶対NG行為:
  • 働いていないと申告して実は働いていた(アルバイト含む)
  • 求職活動の実績を虚偽報告
  • 就職決定を申告しない
  • 受給期間中の自営業開始を申告しない
発覚すると受給額の3倍の返還+刑事罰の可能性があります。

受給中にアルバイトをすることは可能ですが、働いた日は申告が必要(基本手当が減額または不支給)。週20時間以上働くと「就職」とみなされ、受給が打ち切りになります。

知っておきたい「再就職手当」

失業保険を満額受給する前に再就職した場合、残日数の60〜70%相当が「再就職手当」として一括支給されます。早期再就職の経済的メリットを得られる重要な制度です。

残日数の割合支給率
3分の1以上残日数 × 60% × 基本手当日額
3分の2以上残日数 × 70% × 基本手当日額

例:基本手当日額7,000円、残日数120日(うち80日残し再就職)の場合、80日 × 70% × 7,000円 = 39万2,000円が再就職手当として支給されます。

よくある質問

Q1: 失業保険をもらいながら転職活動できますか?

A: できます。むしろ「就職活動をしている」ことが受給条件なので、転職活動中の方は申請すべきです。再就職手当の制度もあるため、早期再就職でも損になりません。

Q2: 在職中の転職活動でも失業保険は申請できますか?

A: いいえ。失業保険は「離職後」の制度です。在職中に転職先が決まって退職する場合は、雇用保険の被保険者期間が継続するため、失業保険の申請対象外となります(再就職先で雇用保険継続)。

Q3: 退職してから何日以内に申請すべき?

A: 法的期限は離職日翌日から1年以内ですが、受給開始の遅延を避けるため、離職票が届き次第すぐ申請するのが望ましい。離職票は退職後10日前後で郵送されます。

Q4: 受給中にハローワーク以外で再就職活動してもよいですか?

A: もちろん可能。転職エージェント・転職サイト経由の応募も「求職活動実績」として認められます。月2回以上の応募実績または相談実績があればOK。

Q5: パワハラで自主退職した場合、会社都合になりますか?

A: ハラスメントや過重労働を理由とする退職は「特定理由離職者」として扱われ、会社都合に近い扱い(給付制限なし・受給日数増)が受けられます。証拠書類(メール・診断書等)の提出が必要。

Q6: 失業保険受給中にiDeCoは続けられますか?

A: 続けられます。iDeCoは「個人型確定拠出年金」で職業を問わず加入可能。失業中も毎月最低5,000円から積立を継続できます。退職一時金からの拠出も可能。

まとめ:失業保険は「権利」として活用しよう

失業保険は、雇用保険料を払ってきた方の正当な権利です。「自己都合だから申請しない」と諦めるのは大きな損失。自己都合でも90〜150日分、月15〜25万円の受給が可能で、転職活動中の生活基盤を支えてくれます。

申請には手続きの手間がかかりますが、失業保険は転職活動中の生活を支える大切な制度です。退職後はまず離職票を待ち、届いたら速やかにハローワークで申請してください。再就職手当の制度もあるため、早期再就職でも経済的メリットを得られます。

参考文献・出典