- 失業保険の受給条件と「もらえる人・もらえない人」の判定基準
- 自己都合と会社都合で受給開始日・受給期間がどう変わるか
- 失業保険の金額(基本手当日額)の計算方法と早見表
- 申請から受給までの全手順とスケジュール
- 受給中の禁止事項と注意点(不正受給リスク)
最終更新日:2026年5月25日|厚生労働省・ハローワーク公式情報に基づく(2025年改正対応済)
失業保険(雇用保険の基本手当)とは
失業保険は、正式には「雇用保険の基本手当」といい、雇用保険に加入していた方が離職した際に、再就職までの間の生活を支える目的で支給される国の制度です。会社員として働いていた方の多くは雇用保険に加入しており、退職後の申請で受給できます。
2024年度の支給実績では、年間約250万人が受給しており、1人あたりの平均受給額は約80万円でした。退職後の生活設計を立てる上で、最も重要な制度の一つです。
失業保険の受給条件【2つの基本要件】
失業保険を受給するには、以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。
条件①:雇用保険の加入期間
| 離職理由 | 必要加入期間 |
|---|---|
| 自己都合退職 | 離職前2年間に通算12ヶ月以上 |
| 会社都合退職・特定理由離職 | 離職前1年間に通算6ヶ月以上 |
条件②:就労意欲があり、いつでも働ける状態
「失業状態」とは、就職活動をしているが仕事が見つからない状態を指します。以下のケースは失業保険を受給できません。
- 結婚・妊娠・出産・育児・介護などで当面働けない方
- 病気・ケガで就労不可能な方
- 学業に専念する方(学生)
- 会社役員に就任した方
- 自営業を開始した方
自己都合 vs 会社都合:受給条件の決定的違い【2025年改正反映】
離職理由によって受給開始日・受給日数が大きく異なります。2025年4月の改正で自己都合退職の給付制限が2ヶ月から短縮されたため、最新情報を確認してください。
| 項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|
| 給付制限期間 | 7日 + 1ヶ月(2025年4月改正) | 7日のみ |
| 受給開始時期 | 申請から約1ヶ月7日後 | 申請から7日後 |
| 受給日数 | 90日〜150日 | 90日〜330日 |
| 国民健康保険料減免 | 原則なし | 軽減措置あり |
受給期間と受給金額【早見表】
受給日数(自己都合退職)
| 被保険者期間 | 受給日数(全年齢共通) |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
受給日数(会社都合退職)
| 離職時年齢 | 1年未満 | 1〜5年 | 5〜10年 | 10〜20年 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
基本手当日額の計算式
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45〜80%)
賃金日額は、退職前6ヶ月間の給与(賞与を除く)の合計を180で割った金額。年齢・賃金水準により給付率が変動します。
| 退職前の月収(額面) | 基本手当日額(30代の目安) | 1ヶ月の受給額(30日換算) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約5,200円 | 約15.6万円 |
| 30万円 | 約6,800円 | 約20.4万円 |
| 40万円 | 約8,000円 | 約24万円 |
| 50万円 | 約8,300円(上限近い) | 約25万円 |
※ 2025年8月時点の基本手当日額の上限は8,490円(30〜44歳)。詳細は最新の厚生労働省告示を確認してください。
申請から受給までの全手順
STEP1:必要書類を揃える
- 離職票1(被保険者離職票-1)
- 離職票2(被保険者離職票-2)
- マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 銀行通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
STEP2:ハローワークで求職申込み(離職票受取後)
住所地を管轄するハローワークに行き、求職申込書を記入。離職票を提出して受給資格の決定を受けます。受給資格決定日から7日間は「待期期間」です。
STEP3:雇用保険受給説明会に参加(必須)
受給資格決定後、約2〜3週間後に行われる説明会に必ず参加。「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取ります。
STEP4:失業認定日にハローワークに行く(4週間ごと)
失業認定日(4週間に1回)にハローワークに行き、求職活動の実績を報告。認定を受けると、約1週間後に基本手当が振り込まれます。
STEP5:受給期間中の活動
毎月最低2回以上の求職活動実績が必要(求人応募、ハローワークでの相談、セミナー受講等)。実績が足りないと認定されず、支給が止まります。
失業保険受給中の禁止事項【不正受給は3倍返し】
- 働いていないと申告して実は働いていた(アルバイト含む)
- 求職活動の実績を虚偽報告
- 就職決定を申告しない
- 受給期間中の自営業開始を申告しない
受給中にアルバイトをすることは可能ですが、働いた日は申告が必要(基本手当が減額または不支給)。週20時間以上働くと「就職」とみなされ、受給が打ち切りになります。
知っておきたい「再就職手当」
失業保険を満額受給する前に再就職した場合、残日数の60〜70%相当が「再就職手当」として一括支給されます。早期再就職の経済的メリットを得られる重要な制度です。
| 残日数の割合 | 支給率 |
|---|---|
| 3分の1以上 | 残日数 × 60% × 基本手当日額 |
| 3分の2以上 | 残日数 × 70% × 基本手当日額 |
例:基本手当日額7,000円、残日数120日(うち80日残し再就職)の場合、80日 × 70% × 7,000円 = 39万2,000円が再就職手当として支給されます。
よくある質問
Q1: 失業保険をもらいながら転職活動できますか?
A: できます。むしろ「就職活動をしている」ことが受給条件なので、転職活動中の方は申請すべきです。再就職手当の制度もあるため、早期再就職でも損になりません。
Q2: 在職中の転職活動でも失業保険は申請できますか?
A: いいえ。失業保険は「離職後」の制度です。在職中に転職先が決まって退職する場合は、雇用保険の被保険者期間が継続するため、失業保険の申請対象外となります(再就職先で雇用保険継続)。
Q3: 退職してから何日以内に申請すべき?
A: 法的期限は離職日翌日から1年以内ですが、受給開始の遅延を避けるため、離職票が届き次第すぐ申請するのが望ましい。離職票は退職後10日前後で郵送されます。
Q4: 受給中にハローワーク以外で再就職活動してもよいですか?
A: もちろん可能。転職エージェント・転職サイト経由の応募も「求職活動実績」として認められます。月2回以上の応募実績または相談実績があればOK。
Q5: パワハラで自主退職した場合、会社都合になりますか?
A: ハラスメントや過重労働を理由とする退職は「特定理由離職者」として扱われ、会社都合に近い扱い(給付制限なし・受給日数増)が受けられます。証拠書類(メール・診断書等)の提出が必要。
Q6: 失業保険受給中にiDeCoは続けられますか?
A: 続けられます。iDeCoは「個人型確定拠出年金」で職業を問わず加入可能。失業中も毎月最低5,000円から積立を継続できます。退職一時金からの拠出も可能。
まとめ:失業保険は「権利」として活用しよう
失業保険は、雇用保険料を払ってきた方の正当な権利です。「自己都合だから申請しない」と諦めるのは大きな損失。自己都合でも90〜150日分、月15〜25万円の受給が可能で、転職活動中の生活基盤を支えてくれます。
申請には手続きの手間がかかりますが、失業保険は転職活動中の生活を支える大切な制度です。退職後はまず離職票を待ち、届いたら速やかにハローワークで申請してください。再就職手当の制度もあるため、早期再就職でも経済的メリットを得られます。
参考文献・出典
- 厚生労働省「雇用保険制度の概要」
- ハローワーク インターネットサービス
- 厚生労働省「令和7年4月 雇用保険制度改正の概要」